素材探しと改作

小さく整った木も、最初は一本棒であったり根もとのひと振りの曲であったかもしれません。あるいは大きな鉢植えの一枝を取り木したものかも…。十年の木にはそれなりの歴史があります。整った木の高価はいわばその年月を買うことにもなります。

そうしたものを入手し、楽しむのも一つの方法ですが、多くは鉢植えに近いものから時間をかけて作り上げるということになるでしょう。この過程が勉強でもあり、楽しみでもあります。こうした作る喜びと同時に新しい素材との出会い(素材捜し)は、遠足を待った日のようにうれしい。

ミニ盆栽を始めて2〜3年もたつと、新しい素材が目に見えて棚に増え出します。初めの頃は購入した素材をすぐ切りたくなりますが、それが考えて切るようになり、失敗して枯らすことが少なくなります。

素材捜しのポイントは根元の近くに一曲ある木を捜すこと。できれば一曲のすぐ上に切り詰められる枝があれば、理想的。このように原型の木から大きく作りかえることを改作といいます。もし、上部に枝の多いところがあれば、改作の前に取り木や挿し木をすれば、全部が生かせます。仮にその木が3,000円であっても、10本近く増えることも考えられます。

また、安価な素材も生かし方次第。こうした素材は、園芸、あるいは盆栽センターなどで購入します。少し目が肥えてきたら、ミニ盆栽専門店で骨格の良いものを捜すのも良いでしょう。また各地で、春と秋は展示会が開かれ、即売もされます。会員の方がミニ盆栽用に作った素材が安く入手できるのでうれしい。

素材捜しはまた、素材作りにもつながります。お金はかけられないが、時間はという方は実生をおすすめします。秋の山野にはたくさんの木に実がつきます。これを採取してまくのですが、ただ播いただけでは棒状の苗になりやすい。そこで土の上にアミをかけておくと、上に伸びられない苗は、アミとの間を屈曲します。1年すると自然にできた曲幹の実生がたくさんできます。この方法は、まっすぐに伸びやすい高木性の木には特に有効です。