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春は花、夏は葉、秋は実、冬は裸木というように季節ごとに樹種によって最も美しい頃があります。そのような時、室内に取り込んで観賞する余裕を持ちたい。 特別高価な飾り台でなくても木目のある板切れやコースター、のりまき用のすだれなど身近なものにのせて玄関やテレビの上、本棚の脇にちょっと置いてみましょう。棚上にある時とはまた違った趣があります。 懐石料理のしゃれた器はお正月などには似合います。お酒も一層おいしくいただけましょう。薄いお盆( 丸や長方、半円形など)もいろいろな形があり、二点飾りもできます。 展示会などに使われる飾台は箱形のものが多い。床の間の違い棚を模した形は上段、中段、下段に分けて飾ります。飾り方として上段には高山の厳しい環境に育ったような樹形のもの。中段は岩棚などに自生する半懸崖風のもの。下段は里のおだやかな樹形というものですが、最近はこれらにとらわれない飾りも目立ちます。 要は限られたスペースをいかに自然の景をほうふつさせるように飾れるかということでしょう。あまり詰め込んで飾るよりもすっきりと自分のイメージを出したいところです。 たとえば高卓に懸崖または半懸崖の木をのせて高山を表現。ぐっと下に地板を敷いてやさしい木でそれを受けるといったようなもの。また、垣根を思わせるくの字形のついたての前に小さなたまり石と、少し腰高のモミジというような里の風景、あるいは石につけた木の下に白砂を敷いた海の景などいろいろ考えられます。 飾りの楽しみは普段一本ずつ育てている木を組み合わせてひとつの表現することでしょう。木、石、水、色、空間を使い分け、さらに季節感を盛り込むといえば少々よくばりでしょうか。しかし、日頃は水やり、肥料、消毒、剪定、植え替え等々見る間もないほどですから時折の飾りは一段の清涼剤ともなります。 楽しみながら水をやり花や実を愛で、そしていつの間にか枝が増え風を感じさせる木に成長してくれた時、ミニ盆栽をやっててよかったと感じます。それを飾り、人が見て、いいものですねと言われたらさらに喜びが倍加されます。 |